どうしてこうなったのか。 この問に誰か答えてくれないだろうか。






















いや、無理だろ。だって俺もよく分かんねぇもん。





















20xx年 7月某日 午前8時 快晴。 今日は土曜日で俺は昨日から今日にかけて遅寝遅起きをする。一週間のうちに2度だけ楽しめる俺の数少ない至福だ。しかし、この安い至福はつい先日、一人の少女によって崩壊させられた。
「おいちゃーーーん!! 起きてー!! 朝ですよー!!!」
(ああ…… グッバイ、俺の平穏な毎日……)
朝一に聞こえてきたのは少女のでかい声。大きい声なんて可愛いもんじゃない。でかいのだ。
幼い少女の声で目覚めるなんてシチュエーションを喜ぶ変態もいるらしいが、はっきり言って理解できない。
「おー。さっちゃん、おいちゃんは昨日までお仕事だったから疲れてんだ。もうちょい寝かせてくれ」
俺のベッドに駆けてきた少女の気を損ねないように言う。出来るだけ調子悪そうに。
「だーめー! 今日はさっちゃんがおいちゃん独り占め出来る日なのー! おいちゃんはさっちゃんと遊ぶのー! あと、お腹すいたー!!」
俺の気遣いを踏みにじるがごとく、少女はベッドに飛び乗った。
「あーはいはい。 おはよう、さっちゃん。今日も元気だなー」
少女をベッドから降ろし、頭を撫でながらあくびをひとつ。
「おいちゃんまだ眠いのー? ダメだよ! 起きて!!」
少女は俺の膝をバシバシと両手を使って叩きだす。
「分かってるって!起きてるから! さっちゃん痛いって」
俺が痛がると少女も手をどけ、にっこり笑った。
「やったー! さっちゃんの勝ちー!!」
「はいよ。おいちゃん こーさん。朝ごはんだろ。何がいい?」
すると少女は目をキラキラと輝かせた。
「ぐちゃたま! ぐちゃたまがいい!!」
ぐちゃたまとはスクランブルエッグのことだ。なるほど、今朝の少女は食パンな気分らしい。
「じゃあ用意すっから、さっちゃんはそれまでにお着替えとお顔洗って来なさい。このボッサボサ頭も綺麗にすること!」
ここぞとばかりに俺は少女の頭をぐしゃぐしゃにしてやった。さっきのお返しだ。
「もーー! わかったからぐしゃぐしゃやーめーてー!!」
と言いつつもやはり嬉しそうに笑う少女を見て俺の1日が始まる。

さて、これが今の俺の日常だ。8年前に諦めていた夢をみているような幸せな日々。それもこれも少女Sこと、さっちゃんに出会えた奇跡のおかげだ。俺はそれを忘れちゃいけない。 彼女は奇跡であると。
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